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玄米大好き、マクロビオティック大好きなカリフォルニアに住む倭人です。あっ、日本酒も好き☆


by thetamia
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Toyo's Camera

今年の春からこちらで上映された「Toyo’s Camera」
DVD購入して観ました。

WWII(第2次世界大戦)が始まってすぐに アメリカに暮らしていた日系人の人達は各地のキャンプ(収容所)に強制収用されます。 同じ敵国だったドイツ、イタリアの移民はなにもなかった。
これは人種差別以外のなにものでもないと。  それまでに一生懸命働いて築き上げてきた資財はすべて募没収され 両手に持てるだけの荷物でキャンプ場に収容される。 このDVDではカリフォルニアのマンザナというキャンプ場の生活をカメラマンの宮武東洋さんの写真を通してドキュメンタリー映画に作られています。

今まで、日系3世とか4世の友人のご両親や親戚にひとからキャンプ場の生活は少しは聞いたことがあったし、またこちらの日系社会や日系団体が様々な活動をしているのをしっていても 正直、自分には直接関係がないので 恥ずかしながらあまり気に留めていませんでした。

今回このDVDを観て 私達の先輩方である日系1世、2世、そして帰米(アメリカで生まれた後、日本で教育を受けて再びアメリカに戻ってきた人達)がどんな想いでアメリカに暮らし、どんな想いでキャンプ場に収容され、生活していたのか。そして その先輩方が作ってくれたこの日系社会があってこそ、今私たちが心地よくアメリカという海外で暮らせているんだなとという感謝の想いが沸いてきたのと同時に なんだか 今まで全然関係ないような顔して住んでいた自分がちょっと恥ずかしくなった。

それにしても、宮武東洋さんが写している写真の中の顔は、みんなとてもいい顔をしていた。
キャンプ場のなかでしか生活できないのに 生き生きしている。  瞳が輝いている。 
映画の中で一人の女性が「限られた中で 私たちはできるだけのことをしました」と言っているように 不自由、不満はたくさんあったろうが 一生懸命前を見つめて生きていたんだろう。

Toyo\'s Camera_c0137235_2165116.jpg


宮武東洋さんは キャンプ場に収容されるときにこっそりカメラのレンズを持ち込んだ。(もちろんカメラは禁止だった) そして 友人の大工さんに頼んで 木の枠で手作りカメラで撮影を始める。 
「こんなことは2度と起こってはならない。 自分はこれを記録する義務がある。」
たぶんこっそり持ち込んだフィルムはすぐになくなったんだろう。 途中は日系人に好意的なアメリカ人がこっそり持ち込んでくれたりしたらしい。 
後に、キャンプ場の所長だった人が東洋さんを呼び出し 「カメラのないフォトグラファーは羽のない鳥といっしょですよね?」 と言って東洋さんにカメラを持ってきて写していいという許可をだした。 秘密のカメラがばれたと思ってた東洋さんは大喜びしたそうです。

また 複雑な思いも感じた。
キャンプ場の中はすべてがそろっていた。 食事はもちろんただで毎日配られる。 仕切りがないとはいえ、シャワー、水洗トイレ(だと思う、写真からでは)も完備。
学校もあるし、写真で見る限りでは看護学校のようなものもあったらしく 看護婦の制服をきてアメリカ人の看護婦さんから卒業証書みたいなのをもらっている写真もあった。 
野球、バスケットボール、フットボール、柔道のチーム。 他の学校を招待試合。 ユニフォームまである。
びっくりしたのは 女性がパーマをかけている写真を見たとき。 そんな余裕があったのか。 というより それをさせてくれるアメリカってすごいなって。。。。
あの時代の日本は食べることさえままならなかったのに。。。。 この違いは。
私達の親がこれを観たらどのような感じをうけるのか?

そして日系人同士の争い。 一世や帰米の人達はアメリカに忠誠を尽くせない、 反対にアメリカで生まれた2世達はアメリカの忠誠を見せ、戦争にまで参加した。 僕たちはアメリカ人だと。
一世の両親に2世の息子、娘達。親子の考えの違い。気持ちのすれ違い。  そこがいちばん辛かったのではないだろうか?

キャンプ場生活を詳しく話したがらない人たちもたくさんいるらしいが それほど思い出すと辛い時代だったのだと思う。 私が知り合った日系人のお年よりは いつもホンワリ暖かい笑顔で愛に溢れているという感じの方が多い。「大変だったよ~」と笑顔で話すその瞳の輝きは たくさんの涙で洗われたからこそでる光なのかもしれない。 どっしりした暖かい不動の愛を感じます。  すごいよ おじいちゃん、おばあちゃん。

この映画、お勧めです。 


 
by thetamia | 2009-05-16 02:53 | 日記